土地の有効活用講座
定期借地権マンション研究会の活動報告(7回連載)

6.定期借地権マンションのステークホルダーに対してのヒアリング(2009.12.1掲載)

1)大阪府住宅供給公社・兵庫県住宅供給公社

大阪府住宅供給公社は、公社の土地について3物件ほど定期借地権マンションの供給事例がある。
なお、今後特に定期借地権マンションを供給する予定はないとのことである。
また、兵庫県公社は、震災復興の一環として、被災マンションの底地を公社が買い取り、当該地上に定期借地権付でマンションを建築して従前の住民に売却するという、震災復興の一環として定期借地権を利用したスキームで2棟の復興事例がある。同じ公的な主体が行ったものであるが、基本的な内容についても違いがあるため、その概要について簡単な表を作成した。

 府 公 社県 公 社
権利関係地上権賃借権
一時金権利金+敷金保証金(地価の9%)
期間満了後の措置更地返還更地返還
解体積立金一時金+積立金「解体費―保証金」額を積立
賃料改定の問題現状はない改定していない(上述)
中古物件売買状況19年までに20戸把握している限りでは8戸

2)高松市丸亀商店街

当該物件は地域住民が主体となり、市街地再生のために行った有名な再開発案件である。
ここで行っている手法は、土地上に定期借地権を設定してビルを建築する手法であり、期間62年(工事期間を2年と考える)で設定している。
従前地権者については、基本的には商業床に権利変換して、共有持分で分類するようにしている。
当該店舗は、地権者会社(地権者会社も権利者のひとりとなっている)が運営して賃料等も支払っている。
広い店舗を作り、当該店舗をいかようにでも貸せるような工夫であり、仮に、店舗を個々の区分所有とすると、自分の商売に固執する可能性もあるので、このスキームが有効に機能している。
なお、地権者のうち、住宅がどうしても欲しい人には住宅+残りの部分は商業床の共有持分としている。
事業費は、商業床の殆どは地権者法人に売却。会社が公的資金等の支援を受けながら商業床を買い取る。
住宅はデベロッパーが取得し分譲している。振興組合も地権者の1人であったが、当該部分はコミュニティホールとし権利変換をうけている。商業床は権利者部分も権利者法人が借受けている。