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3.定期借地権供給にかかるボトルネックについて(2009.9.1掲載) |
当初、研究会の委員により、以下のような仮説の議論を行い、その後さまざまな調査等により、仮説の検証を行っていった。ちなみに、定期借地権であるか所有権であるかに関わらず、非優良地において物件供給を行っても、ユーザーは相手にしない可能性が高いので、あくまで一定水準以上の優良地で物件供給を行うという前提で考えている。
1)優良地の所有者が定期借地権供給に積極的でない理由
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<1> | 他の土地活用形態(賃貸マンション・ビル・店舗・駐車場等)の検討が可能であり、これらの物件と比較して「定期借地権活用」の優位性を説得できないと、なかなか定期借地権利用には同意してもらいにくい。 |
<2> |
土地所有者が、土地活用を行う理由は、主として「収益性」か「相続税効果」に分類できる。定期借地権の賃料収入は、特に優良地においては、賃貸マンションや賃貸ビル等に劣るし、相続税の税効果上も同様である。 |
<3> |
仮に個人地主がマンション用の優良地を持っているとした場合、現在の定期借地権の底地にかかる相続税評価では、相続税の納付が困難である。 |
<4> |
一般に、都心部のまとまった土地は、個人地主ではなく法人地主のケースが多いが、こうした土地所有法人の土地管理担当者が定期借地権を理解しておらず、結果として物件化が遅れている。 |
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全部というわけではないが、土地所有者によっては50年という期間が長すぎると感じているケースもある(30年くらいであれば、より物件化しやすい)。
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2)定期借地権マンション供給におけるその他の阻害要因
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<1> |
金融機関の融資姿勢が非常に遅れている。特に不景気時にはより強く感じる。 |
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新築時は提携ローンの枠組みを組んだとして、問題は中古流通時に選択できるローンの余地が少ない点である。 |
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中古流通の場合に、不動産業者が定期借地権の内容をどこまで説明できているか?大手の場合は問題がないとして、重要事項説明書の整備等も含めて、何らかの対策も必要では? |
<4> |
前から問題になっていた点ではあるが、仲介手数料等についてもそれなりのものでないと不動産業者も食指が動かないのでは |
<5> |
借地権の残存期間が少なくなると、売れなくなるのでは? |
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逆に、借地権の残存期間が少なくても、価格さえ妥当であれば、こうした物件に継続的に引っ越す等の住み方も生まれるのでは? |