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1.定期借地権マンション研究会設立趣旨と活動の概要(2009.7.1掲載) |
わが国でマンションの分譲が始まったのは昭和30年代初頭ころからであり、その後昭和37年に区分所有法が制定された後、昭和40年代からは大量供給が始まっております。これらのうち、特に昭和40年代前半くらいまでに供給されたマンションは、すでに築年数も40年を超えており、「建替え」の検討が必要なマンションの数も少なくない状況にありますが、一方で所有権のマンションの建替え等を検討する場合には、「合意形成」等の面で大きな問題が生じております。
これは、マンションは俗に「区分所有権」といわれておりますが、現実には、専有部分以外の建物や土地は、区分所有者全員の共有であることが大きな原因となります。すなわち、特に築年数が経過したマンションについては、区分所有者の高齢化や非居住化が進んでおり、区分所有者相互間のものの考え方も異なってくることから、特に建替えに際して経済的な負担が伴う場合には、区分所有者の年齢や経済的な状況、社会的な立場等により求めるものが大きく異なってくることが多く、結果としてひとつの方向で合意形成を行うことが非常に困難となるわけです。
これに対して定期借地権マンションは、契約期間が満了したら、土地は地主に返還されるために、地主の判断で、「建替えをするか」、「リノベーションをするか」、等の意思決定を行うことができます。
また、これからの環境共生社会を考える場合に、「良質な建物を建築して、その建物を長いこと維持する」のは不可欠であると思われますが、一方で、建物の質をそれなりに向上させる場合には、「建築費」等もそれなりのものになると思われます。マンションの価格が大きく、「土地費」と「建物費」および「分譲事業費」等で構成されることを考えると、建物価格が上昇すれば、その分だけ分譲価格も高くなってしまうため、結果として土地価格が顕在化しない定期借地権を利用した供給は、良質な建物の供給においても意義のあるものであると思われます。
このように、これからのわが国における「住」を考える場合、定期借地権マンションの普及には大きな意味があるものと考えられますが、一方で、これまで定期借地権マンションについての研究はほとんどなされていない状況でした。こうしたことから、定期借地権推進協議会の内部に、プロジェクトとして、昨年、「定期借地権マンション研究会」を立ち上げ、昨年度は、既存物件の分析や、ステークホルダーからのヒアリング、定期借地権マンション供給におけるボトルネックにかかる議論等を行うとともに、定期借地権マンションの契約書についての比較検討等も行いました。
なお、研究会の活動については、ハウジング&コミュニティ財産の「200年すまい・まちづくり支援事業」の助成を受けて行いました。
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