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■その2 -- 地代改定について(2008.12.15掲載) |
1)地代改定にかかる公式
定期借地契約における地代改定については、一般的には、地代改定について次のような公式を契約書の条項に入れているケースが多いと思われます。
改定賃料の年額=(従前の賃料の年額-従前の賃料決定時の公租公課の年額)×変動率+賃料改定時の公租公課の年額
すなわち、例えば、現在の地代が月額3万円(=年額36万円)として、その地代を決定したときに土地に対して支払っている公租公課の合計額が6万円とします。次に、地代改定時に支払っている公租公課が7.2万円であり、その間の「変動率」が6%とすると、改定後の地代は次のようにして求められます。
この算式は、非常に合理的な手法であると思われます。なお、変動率は、一般に全国もしくは土地が所在する都道府県の消費者物価を採用するケースが多いようです。
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2)賃料改定にかかる実務上の留意点
ところで、実務上は、地代改定について、もう少し注意が必要なケースがあります。
以下、いくつか例を挙げてゆきます。
- 従前土地と定期借地権設定後の土地に違いがある場合
- 従前土地は「更地」であったが、定期借地権設定後は「住宅用地」となる場合
→ 建物建築後は、固定資産税・都市計画税が軽減される。
- 従前土地をいくつかに分割した場合
→ 分割後の土地にかかる「公租公課」が厳密にはわからない。(近似値の計算は可能であると思われるが)
こうした場合には、「初回の賃料改定時」についての計算の考え方を、別に定義づけしておくことが必要であると思われます。
- 「従前賃料決定時の公租公課」や「変動率」にかかる問題
- 不動産にかかる固定資産税や都市計画税の額が確定するのは、自治体にもよると思われるが、4月~5月頃であると思われる。
→ 仮に定期借地権を設定した時期が2月とか3月であった場合には、賃料改定の年の同時期には、その年の固定資産税の額は確定していないこととなる。
- 「変動率」を、仮に「消費者物価指数」と定義つけた場合に、ある年の消費者物価指数が公表されるのは、その翌年の6月くらいであると思われる。
→ こうなると、消費者物価指数についても、「その年の消費者物価指数ではなく、例えば、『賃料改定時の属する年の前年の消費者物価指数』等と定義づけするほうが正確であると思われる。
以上のように考えると、後記③にもかかる話となりますが、賃料改定時期は、契約の日時に関わらず、「7月1日」とか或いは「8月1日」あたりで設定することが望ましいと思われます。
- 定期借地権の設定区画が複数あり、契約日時も異なる場合
例えば、10区画を定期借地権分譲した場合に、分譲が好調な場合には、同じ日に10区画全てで定期借地権設定が可能となりますので、この場合には大きな問題はありません。逆に、販売に時間がかかり、最後の区画の分譲ができたときには、数ヶ月とか1年程度の時間がかかる可能性があります。
一般に、地代改定は「賃料は3年ごとに以下の計算式により改定する」等という規定がされているだけのケースが多いようですが、この文面でいけば、それぞれの区画で定期借地権契約を設定してから順に3年が経過する毎に賃料改定をしてゆく必要が生じます。そのため、例えば、「初回の賃料改定は○○年7月1日とし、以後3年ごとに賃料改定を行なう」等の定め方をすれば、複数の区画で分譲時期の如何に関わらず、まとめて地代改定をすることが可能となるのではないかと思います。
- 端数の処理
上述の公式に従って、賃料改定を行なうと、初回の賃料改定から「端数」が生じます。当該端数はどのように処理するのかを予め決めておく必要があるでしょう。具体的には、「公式で求めた数値について百円未満は切り捨てる等の措置」を講じる等の対処をする必要があるでしょう。
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