|
|
みなさんが定期借地権の設定契約をされる場合には、当協議会のホームページや、また各種文献の「雛形」を参考に、契約書を作成されることになると思われます。また、こうした雛形においては、細かな解説等も専門家の方により書かれていることから、余計な解説は帰って邪魔であると思われますが、実務家の目から見た簡単な留意点等について、5回にわたって解説してゆきます。 |
■その1 -- 定期借地権の要件(2008.12.1掲載) |
1)22条借地権について
これは、定期借地権創設当時に議論がされた話ですが、最近はこうした話も風化している可能性がありますので、改めて紹介いたします。
22条の一般定期借地権については、期間50年以上の契約を書面ですることにより
- 期間満了により更新の請求をしない
- 建物買取り請求権の行使をしない
- 建物再築による期間の延長がない
という3つの特約が有効になる旨が規定されております。
定期借地権が誕生した際に、学者等の間でなされていたのは、上記3つのうち2つの特約のみをした場合に、それが有効となるか否かという議論でした。その際の議論では、例えばⅱの建物買取り請求権の行使をしない旨の特約はいれなくても有効ではないか等の議論がかなりなされておりました。まあ、実務的には、あまり余計なことは考えずに、上記3つの特約を書面で交わすことを考えておけばよいでしょう。 |
2)23条借地権について
23条借地権は、具体的には2つに分けて考える必要があります。事業用借地権については、法律上大きく二つに分けて理解する必要があります。具体的には「10年以上30年未満」の事業用借地権と、「30年以上50年未満」の事業用借地権です。具体的には以下のような違いがあります。
- 10年以上30年未満
「専ら事業のように供する建物の所有を目的とし、かつ、存続期間を10年以上30年未満として借地権を設定する場合」には、借地借家法第3条から第8条(借地権の存続期間、借地権の更新後の期間、借地契約の更新請求等、借地契約の更新拒絶の要件、建物の再築による借地権の期間の延長、借地契約の更新後の建物の滅失による解約等)まで、第13条(建物買取請求権)、及び第18条(借地契約の更新後の建物の再築の許可)の規定は適用しないとされている。すなわち、期間を明示した事業用借地契約をした場合には、特約で「契約の更新がない」等を示さなくとも、上述の効果があることとなる。
- 30年以上50年未満
30年以上50年未満の事業用借地契約をする場合には、22条の借地権と同様に、「契約の更新がない」「建物再築による存続期間の延長がない」「期間満了時に建物買取り請求権を行使できない」という3つの特約を行なうことで、これらの特約が有効になるとされている。
|
このような違いが生じる理由について簡単に説明いたします。まず、30年以上の借地契約の場合は、普通借地契約も定期借地契約もどちらでも可能であるため、当事者の特約より、賃借人にこれらの保護が与えられないことを定めることで、普通借地権と事業用借地権を区別する必要があります。
逆に、借地借家法上、普通借地権は30年以上で契約をする必要があるため、10年以上30年未満の期間で設定できるのは、事業用借地権だけであるため、このような規定となっているようです。 |