■その3 -- 地代の考え方(2008.9.1掲載)

定期借地権の企画をする際に、「地代や一時金をどのように設定するか?」ということが事業者にとっては最大の検討事項の一つとなります。ここでは、まず地代について考えてゆきましょう。

【1】地代を設定する際のルールの有無
結論から申し上げると、地代の設定方法について特にルールはありません。
ただし、土地所有者から事業化の同意を得るために不相当に高額な地代の設定をしてしまえば、結果的にエンドユーザーからは相手にされませんので、「周辺の不動産動向を鑑みて妥当な設定をする」という、非常にあいまいな結論にならざるをえないでしょう。
なお、普通借地権の賃料は、「公租公課の3倍程度」といわれておりますが、定期借地権の場合には、一般的にはもう少し高い水準の物が多いようです。

【2】地代を決定する際のヒント1
周辺で定期借地権の分譲事例がある場合には、そうした事例を参考とすることもできますし、また、国土交通省で定期借地権住宅について詳細な調査を毎年行なっておりますので、こうしたデータから地価に対しての平均的な地代水準は求めることができます。因みに、一戸建て住宅用地としての地代水準について、平成18年の調査では、以下のようになっております(地代率は、地価に対して年額地代の割合を示す。)

  平均利回り
首都圏 1.2%
中部圏 2.2%
近畿圏 1.5%

*首都圏・近畿圏に対して中部圏の利回りが高い理由は、地価が相対的に低いためと考えられる。

【3】地代を決定する際のヒント2
上記の特に国土交通省のデータはあくまで広いエリアの平均値に過ぎません。
具体的には、前述の通りエンドユーザーがついてくる数値の検討が必要です。
そのため、所有権一戸建て住宅との価格の比較や、周辺のマンションの管理費や駐車場代の合計額等を鑑みて、どの程度までの負担であればユーザーがついてくるかを慎重に検討する必要があるでしょう。