土地の有効活用講座
定期借地権設定契約上の留意点(5回連載)

■その3 -- 定期借地権マンションの地代について(2009.1.5掲載)
定期借地権マンションでは、一般的にデベロッパーが土地所有者と定期借地契約を設定して、当該地上にマンションを建築した上で分譲することとなります。そのため、当初の定期借地設定契約は、「地主」と「分譲するデベロッパー」の二者で行なうこととなります。定期借地契約設定後、デベロッパーは土地上に建物を建築し、「定期借地権付きマンション」として分譲することとなりますが、この過程で定期借地権は複数の区分所有者間で準共有されることとなります。

 ここで、「定期借地契約がどうなっているか」について、もう一度考えて見ましょう。前述のように、地主と当初の借地人であるデベロッパーが定期借地契約をした借地人としての債権債務を、複数の区分所有者が継承しております。借地権が準共有であることを考えると、借地人は債務については「不可分債務」を負っているものとみなされます。

 この場合の借地人の義務には、土地を適正に利用すること等いろいろなものがあると思われますが、日常的に発生する最大の義務は、「地代の支払い」ということとなるでしょう。ところで、借地人の債務は不可分債務であるという前提で考えると、仮に区分所有者の中で地代の支払いを遅滞する者がいる場合に、地主は借地権の準共有者である他の区分所有者に対して延滞地代の支払いを督促することができることとなります。もっとも厳密に、マンションの地代について不可分債務として紛争が生じたことがあるか否かは不明ですし、そもそも金銭債務は分割であるという考え方もあると思いますので、以上の議論が正しいか否かの判断はここでは避けます。しかしながら、こうした考え方があるということは、少なくとも定期借地権設定契約上で、地代の債務については可分債務である旨の規定をしておいたほうがよいでしょう。